【殺人ダニ】マダニが媒介するSFTSウイルスとは?その症状や予防法、治療法は?
マダニが媒介するSFTSウイルスとは?
SFTSウイルスとは、重症熱性血小板減少症候群ウイルス(Severe fever
with thrombocytopenia syndrome virus)の略称です。
ブニヤウイルス科フレボウイルス属に属するウイルスの一種で、
現在世間を騒がせている『殺人ダニ』の正体がこれです。
正確にはこのウイルスを持ったダニに咬まれる事によって感染するのですが、
そういった事も含めてこれから詳しくお話したいと思います。
出典:www.petkusuri.com
SFTSウイルスの感染ルート
多くの場合、このSFTSウイルスを保有している『マダニ』に咬まれることによって
人間に感染します。
そのため、マダニの活動期である春から秋にかけて患者が発生する傾向にあります。
インフルエンザのように人から人へ感染して広がる事はありませんが、十分厄介です。
マダニはどこにいる?マダニと普通のダニとの違い
そもそもマダニは、一般的に知られているダニとは全く種類が異なります。
食品などに発生するのが『コナダニ』と呼ばれる種類で、衣類や寝具に発生するのが
『ヒョウヒダニ』、植物の害虫として有名なのが『ハダニ』です。
どれもSFTSウイルスとは一切関係ありません。
問題は『マダニ』です。固い外皮に覆われた比較的大型のダニで、吸血前は3~8mm、
吸血後は10~20mm程。主に森林や草地等の屋外に生息していますが、市街地周辺でも
見られるようです。
出典:so-net.ne.jp
全てのマダニがSFTSウイルスを保持しているのか?
全てのマダニが一様にSFTSウイルスを保有しているというわけではありません。
中国では2009年頃から既にSFTSウイルスの脅威に晒されており、
フタトゲチマダニやオウシマダニといったマダニ類からウイルスが感染した事が判明しました。
日本には約47種のマダニが生息しているとされていますが、これまでに
実施された調査の結果、フタトゲチマダニ、ヒゲナガマダニ、オオトゲチマダニ、
キチマダニ、タカサゴキララマダニといった複数のマダニ種からSFTSウイルスが
検出されています。
SFTSウイルスの潜伏期間と主な症状
マダニに咬まれると、6日~2週間程の潜伏期間を経て、原因不明の発熱、食欲低下、
嘔気、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状が起きます。
合わせて頭痛、筋肉痛、意識障害やけいれんなどの神経症状、リンパ節腫脹、
咳などの呼吸器症状、紫斑といった出血症状が出現します。
そして最悪の場合、死に至ります。
出典www.j15.org
マダニにかまれたらどうする?SFTSウイルスの治療方法はあるの?
マダニは一度かみつくと、数日~10日以上吸血し続けます。
吸血中のマダニに気が付いたとき、無理に引きはがすとマダニの口器など、
体内に喰いこんだ一部が皮膚内に残って化膿したり、マダニの体液を
逆流させてしまったりする恐れがあります。
見つけた場合は慌てず、皮膚科に行ってマダニの除去や洗浄などの
処置をしてもらいましょう。
どうしても自分で取りたい場合は、下の記事を参考に正しい方法で除去して下さい。
【関連記事】犬からも感染?SFTSウイルスの予防法と、マダニに咬まれた時の正しい処置法
また、マダニに咬まれた後、6日~2週間ほどの潜伏期間を経て、発熱等の症状が
みられる場合があります。その場合はすみやかに医療機関を受診しましょう。
恐ろしい事に、このウイルスに対する有効な抗ウイルス薬やワクチンなどの
治療法は存在しません。よって、対症療法が主体になります。
【関連記事】SFTSウイルスの治療法はあるの?マダニに咬まれたらどの診療科に行くべき?
SFTSウイルスの予防法
マダニに咬まれないようにする事、これが唯一の予防法です。
草むらや藪などにはマダニが多く生息していますので、もし入る場合は
長袖と長ズボンを着用し、足を完全に覆う靴を履き、帽子や手袋などで
肌の露出を少なくするよう努めましょう。
現状、日本ではマダニ用の忌避剤は販売されていませんが、ツツガムシ用の忌避剤が
マダニにも一定の効果を得られることが確認されています。
特にマダニの活動が盛んな春から秋にかけて、マダニに咬まれる危険性が
高まりますので注意しましょう。
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