大人もかかる耳下腺炎とは?症状と治療法・感染対策
耳下腺炎とは?
片側、または左右の耳下腺付近(耳の下辺り)が大きく腫れて痛む
面倒な病気『おたふくかぜ』。
正式には『流行性耳下腺炎』と呼ばれ、似た症状を持つ『反復性耳下腺炎』と
区別されています(混同しがちですが、『反復性耳下腺炎』は『おたふくかぜ』
ではありません)。
繰り返し『耳下腺炎(耳下腺の炎症)』を起こしやすいのが
流行性耳下腺炎です。
大抵の場合、子どもの頃に罹るものですが、時たま成人にも見られます。
一度罹ると生涯免疫を獲得し、再度罹る事は極まれです。
また、流行性耳下腺炎と同じように耳下腺炎を何度も繰り返す病気が、
先程挙げた反復性耳下腺炎です。
風邪や疲労など、体調が優れない時に口内の細菌が耳下腺の導管から
入り込み、慢性炎症の急性増悪を起こすというものです。
その多くは10歳未満の男女に見られ、成人では女性が罹りやすい
傾向にあるようです。
老若男女に共通した症状として、耳下腺を圧迫すると耳下腺導管開口部から
排膿が見られます(抗生物質を服用する事で1~7日の内に症状は消失します)。
また、耳下腺炎や顎下腺炎のせいで、顔が『おたふく』のように
大きく腫れます。おたふくかぜと呼ばれているのはこれが理由です。
出典:benesse.ne.jp
その他にも、発熱や疲れ、だるさなどの全身症状が現れます。
少し前までは春から夏にかけて流行する事が多かったようですが、
最近では季節に関係無く、1年中見られます。
【関連記事】大人の耳下腺炎の感染ルートは?仕事はいつから行ってもいい?
大人でも耳下腺炎にかかる?
流行性耳下腺炎は一度罹ると終生免疫がつくため、再度罹る事はありません。
再感染する場合も一応ありますが(過労で体力が落ちている時など)、
そのほとんどが症状すら出なかったり、仮に出たとしてもすぐに
完治してしまいます。
しかし一度も罹らなければ大人になっても終生免疫を獲得出来ず、
耳下腺炎に罹る確率はぐんと上がり、症状も悪化すると言われています。
大人がかかった場合(子供との違い)
人によってその症状は異なりますが、最初の3~4日は片方、
あるいは両方の耳下腺付近が腫れ、ズキズキと痛みます。
合わせて頭痛も酷く、飲み込む事も食べる事も、喋ることさえままならない
状態になります。
また、大人が流行性耳下腺炎に罹った場合、子供よりも症状がきついと
言われています。
高熱が出やすく、耳下腺の腫れ・痛さも子供の比ではないそうです。
これは反復性耳下腺炎にも言える事で、特に成人女性が罹った時は
シェーグレン症候群でない事を検査で確認する必要があります。
大人になってからおたふくかぜに罹ると何かと厄介です。
子どもの頃に予防接種を受けていない方は、今からでも受ける事を
オススメします。
出典:marthanew.com
治療法・予防法
流行性耳下腺炎に有効な治療薬はありません。
基本的に対症療法であり、発熱・痛みに対してはアセトアミノフェンの
内服・坐薬が、耳下腺の腫れには抗生物質が用いられます。
合併症を併発した場合、入院して治療することが多くなります。
無菌性髄膜炎を合併した場合には腰椎穿刺(背骨の中に針を刺す)で
脳脊髄液を排液して脳圧を下げます。
精巣炎の合併頻度も高く、場合によっては不妊の原因にもなります。
難聴を合併した場合、治療法が存在せず、聴力が回復する見込みは
ほとんどありません。
成人し、集団生活の中に入る前に、きちんとワクチンで予防しておく事が
何よりも有効な予防法ですね。
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